カテゴリ: Kotlin 更新日: 2026/04/08

Kotlin Multiplatform Mobile(KMM)とは?AndroidとiOSを同時に開発する方法を初心者向けに解説

Kotlin Multiplatform Mobile(KMM)とは?AndroidとiOSの開発をまとめる方法
Kotlin Multiplatform Mobile(KMM)とは?AndroidとiOSの開発をまとめる方法

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「スマートフォンアプリって、AndroidとiPhoneで別々に作らないといけないんですか?」

先生

「基本的にはそうです。AndroidアプリはKotlinやJavaで作り、iPhoneのiOSアプリはSwiftなどで作るのが一般的です。」

生徒

「それだと同じ機能を二回作ることになりませんか?」

先生

「その通りです。そこで役立つのがKotlin Multiplatform Mobileという技術です。Kotlinを使ってAndroidとiOSの共通部分をまとめて開発できます。」

生徒

「つまり一つのプログラムで両方のアプリを作れるということですか?」

先生

「すべてではありませんが、多くの共通処理を一つのコードで管理できます。これから初心者にもわかるように、Kotlin Multiplatform Mobileの仕組みを解説していきます。」

1. Kotlin Multiplatform Mobileとは何か

1. Kotlin Multiplatform Mobileとは何か
1. Kotlin Multiplatform Mobileとは何か

Kotlin Multiplatform Mobileは、Kotlinというプログラミング言語を使ってAndroidアプリとiOSアプリの共通処理をまとめて開発できる技術です。略してKMMと呼ばれることが多く、スマートフォンアプリ開発の効率を大きく向上させる仕組みとして注目されています。

通常、スマートフォンアプリ開発ではAndroidとiOSで別々のプログラムを書く必要があります。AndroidではKotlinやJava、iOSではSwiftやObjective Cを使います。そのため、同じ機能でも二つのプログラムを作る必要があります。

例えば次のような処理は、どのアプリでも共通で必要になることが多いです。

  • データの計算
  • ネットワーク通信
  • データ保存
  • ビジネスロジック

Kotlin Multiplatform Mobileでは、このような共通処理をKotlinで一度だけ書き、AndroidとiOSの両方から利用できます。これによりアプリ開発の時間を短縮でき、メンテナンスも簡単になります。

2. AndroidとiOSを同時に開発する仕組み

2. AndroidとiOSを同時に開発する仕組み
2. AndroidとiOSを同時に開発する仕組み

Kotlin Multiplatform Mobileの最大の特徴は、共通コードとプラットフォーム専用コードを分けて管理できることです。

プラットフォームとは、アプリが動く環境のことです。スマートフォンの場合はAndroidとiOSが代表的なプラットフォームです。

KMMでは次のように役割を分けます。

commonMain

AndroidとiOSで共通の処理を書く場所

androidMain

Android専用の処理を書く場所

iosMain

iOS専用の処理を書く場所

たとえば計算処理はAndroidでもiOSでも同じなので、共通コードとしてKotlinで書きます。


fun addNumbers(a: Int, b: Int): Int {
    return a + b
}

この関数はAndroidアプリでもiOSアプリでも同じように使うことができます。つまり、一度書いたコードを複数のアプリで再利用できるということです。

3. Kotlinで共通ロジックを書くメリット

3. Kotlinで共通ロジックを書くメリット
3. Kotlinで共通ロジックを書くメリット

Kotlin Multiplatform Mobileを使うと、アプリ開発に多くのメリットがあります。

まず開発効率が大きく向上します。AndroidとiOSで同じ機能を二回作る必要がなくなるため、開発時間を短縮できます。

次に、バグ修正が簡単になります。もし共通処理に問題が見つかった場合、一か所を修正するだけでAndroidとiOS両方に反映されます。

さらにコードの品質も向上します。同じロジックを共有するため、プログラムの構造が整理されやすくなります。

たとえば、ユーザーの名前を整形する処理を共通コードにすると、AndroidとiOSで同じ結果になります。


fun formatUserName(name: String): String {
    return "ユーザー名: " + name
}

このように、アプリの中核となるロジックを共通化できることがKotlin Multiplatform Mobileの大きな魅力です。

4. 共通コードとプラットフォームコードの違い

4. 共通コードとプラットフォームコードの違い
4. 共通コードとプラットフォームコードの違い

すべての処理を共通コードにできるわけではありません。スマートフォンの機能には、AndroidとiOSで仕組みが違うものがあります。

例えば次のような機能です。

  • カメラ
  • 通知機能
  • GPS位置情報
  • ユーザーインターフェース

これらはAndroidとiOSで動作方法が違うため、それぞれ専用のコードを書く必要があります。

Kotlin Multiplatformではexpectとactualという仕組みを使って、この問題を解決します。


expect fun platformName(): String

これは共通コードで宣言する関数です。実際の処理は各プラットフォームで実装します。


actual fun platformName(): String {
    return "Android"
}

iOS側では別のactual実装を書きます。こうすることで共通コードから同じ関数を呼び出しても、環境ごとに適切な処理が実行されます。

5. Kotlin Multiplatform Mobileの基本的な構成

5. Kotlin Multiplatform Mobileの基本的な構成
5. Kotlin Multiplatform Mobileの基本的な構成

Kotlin Multiplatform Mobileのプロジェクトは、複数のモジュールで構成されることが多いです。

モジュールとは、プログラムを機能ごとに分けた単位のことです。大きなアプリを整理して管理するために使われます。

典型的なKMMプロジェクトの構成は次のようになります。


shared
  commonMain
  androidMain
  iosMain

androidApp
iosApp

sharedモジュールには共通ロジックが入ります。androidAppはAndroidアプリ、iosAppはiOSアプリです。

AndroidとiOSのアプリは、このsharedモジュールを利用することで同じビジネスロジックを共有できます。

6. 簡単な共通処理のサンプル

6. 簡単な共通処理のサンプル
6. 簡単な共通処理のサンプル

ここでは簡単な例として、ユーザーに挨拶する関数を共通コードとして作ってみます。

この関数は、AndroidでもiOSでも同じように動作します。


fun greeting(name: String): String {
    return "こんにちは " + name
}

Androidアプリからこの関数を呼び出すと、次のような結果になります。


こんにちは 太郎

iOSアプリから呼び出しても同じ結果になります。つまり、一つのコードで二つのアプリに同じ機能を提供できるということです。

Kotlin Multiplatform Mobileはこのように共通ロジックを共有しながら、AndroidとiOSそれぞれの特徴を活かしたアプリ開発を可能にする技術です。スマートフォンアプリ開発の効率化を目指す多くの企業や開発者が注目している理由もここにあります。

Kotlinを基礎からしっかり学びたい人や、 Java経験を活かしてモダンな言語にステップアップしたい人には、 定番の入門書がこちらです。

基礎からわかるKotlinをAmazonで見る

※ Amazon広告リンク

まとめ

まとめ
まとめ

Kotlin Multiplatform Mobileの重要ポイント

Kotlin Multiplatform Mobileは、Androidアプリ開発とiOSアプリ開発を効率化するための重要な技術です。通常のスマートフォンアプリ開発では、AndroidアプリはKotlinやJava、iOSアプリはSwiftなどの別のプログラミング言語を使用して開発します。そのため同じ機能でも二回実装する必要があり、開発時間や保守の負担が大きくなることがありました。

Kotlin Multiplatform Mobileを導入すると、アプリのビジネスロジックやデータ処理、ネットワーク通信、データ保存などの共通処理をKotlinで一度だけ作成し、AndroidとiOSの両方から利用できます。これによりスマートフォンアプリ開発の生産性が大きく向上し、保守性の高いアプリケーションを作ることができます。

特にモバイルアプリ開発では、次のような処理が共通コードとしてまとめやすい部分になります。

  • ビジネスロジック
  • データ処理
  • ネットワーク通信処理
  • データベース処理
  • ユーザー情報の管理

これらを共通モジュールとしてKotlinで実装することで、AndroidアプリとiOSアプリの両方で同じロジックを利用できるようになります。つまり一つのコードを複数のプラットフォームで再利用することができるため、モバイルアプリ開発の効率を大きく高めることができます。

共通コードとプラットフォームコードの使い分け

Kotlin Multiplatform Mobileでは、すべての処理を共通コードとして作るわけではありません。スマートフォンの機能にはAndroidとiOSで仕組みが異なるものが多く存在します。例えばカメラ機能や通知機能、位置情報取得などの機能はそれぞれのプラットフォームに依存しています。

そのためKotlin Multiplatform Mobileでは、共通処理をまとめるcommonMainと、Android専用処理を書くandroidMain、iOS専用処理を書くiosMainという構成でプロジェクトを整理します。このような構造にすることで、共通コードとプラットフォーム固有コードを明確に分けて管理できます。


shared
  commonMain
  androidMain
  iosMain

この構成により、AndroidとiOSの両方で利用できる共通ロジックを一か所で管理しながら、それぞれのプラットフォーム特有の処理も柔軟に実装できます。

expectとactualによるプラットフォーム対応

Kotlin Multiplatform Mobileでは、expectとactualという仕組みを使ってプラットフォームごとの違いを吸収できます。共通コードではexpectを使って関数を宣言し、AndroidとiOSのコードではactualを使って実際の処理を実装します。


expect fun deviceName(): String

actual fun deviceName(): String {
    return "Android Device"
}

iOS側では別のactual実装を用意することで、同じ関数を呼び出してもAndroidとiOSで適切な処理が実行されます。この仕組みによって共通コードの再利用性を保ちながら、プラットフォームごとの違いにも対応できます。

共通ロジックを作るサンプルプログラム

ここではKotlin Multiplatform Mobileで利用できるシンプルな共通処理の例を紹介します。ユーザーの名前を受け取り、挨拶メッセージを作成する関数です。AndroidアプリでもiOSアプリでも同じ処理を利用できます。


class GreetingService {

    fun greetingMessage(name: String): String {
        return "こんにちは " + name
    }

}

このクラスは共通コードとして実装できるため、AndroidアプリとiOSアプリの両方から呼び出すことができます。モバイルアプリ開発ではこのようなビジネスロジックやデータ処理を共通化することで、開発効率とコード品質を同時に向上させることができます。

Kotlin Multiplatform Mobileは、モバイルアプリ開発の現場で注目されているクロスプラットフォーム技術の一つです。FlutterやReact Nativeなどのフレームワークと比較されることもありますが、Kotlin Multiplatform Mobileの特徴はネイティブアプリ開発の仕組みを維持しながら共通コードを共有できる点にあります。

そのためAndroid開発者やiOS開発者が既存の開発環境を活かしながら、共通ロジックをKotlinで共有できるという大きなメリットがあります。スマートフォンアプリ開発の効率化やコード管理の改善を目指す開発者にとって、Kotlin Multiplatform Mobileは非常に有力な選択肢と言えるでしょう。

先生と生徒の振り返り会話

生徒

「Kotlin Multiplatform Mobileを使うと、AndroidアプリとiOSアプリを同時に開発できるということがよくわかりました。」

先生

「その通りです。特にビジネスロジックやデータ処理のような共通部分をKotlinでまとめて作ることで、アプリ開発の効率を大きく改善できます。」

生徒

「AndroidとiOSの違いがある部分はどうするのですか。」

先生

「その場合はexpectとactualという仕組みを使います。共通コードで関数を宣言し、AndroidやiOSでそれぞれ実装することで、プラットフォームごとの違いに対応できます。」

生徒

「共通コードとプラットフォームコードを分ける構造も理解できました。commonMainとandroidMainとiosMainですね。」

先生

「その理解で正しいです。Kotlin Multiplatform Mobileでは、共通ロジックを整理して管理できるため、大規模なモバイルアプリ開発でもコードの保守がしやすくなります。」

生徒

「これならAndroidアプリとiOSアプリを別々に作るより効率よく開発できそうですね。」

先生

「その通りです。Kotlin Multiplatform Mobileはスマートフォンアプリ開発の生産性を高める強力な技術なので、これからモバイルアプリ開発を学ぶ人にもとても重要な知識になります。」

関連セミナーのご案内

【未経験OK】Kotlinで始めるプログラミング入門|ゼロから「動く喜び」を体験する60分

「プログラミングを始めたい」を形にする。最新言語Kotlinで楽しむ、ものづくりの第一歩。

本講座は、プログラミング経験が全くない方のためのエントリー講座です。「コードを書くってどういうこと?」という基本から、世界中で使われている最新言語Kotlin(コトリン)を使って、実際にプログラムを動かすまでを体験します。難しい理屈よりも、まずは「自分の手で動かす楽しさ」を最短距離で実感していただきます。

具体的な体験内容と環境

【つくるもの】
簡単な言葉を入力すると自動で返答してくれる「対話型ミニプログラム」や、計算を自動化する「便利ツール」をゼロから作成します。黒い画面に自分の書いた文字が表示される瞬間は、最高の感動体験です。

【開発環境】
プロのエンジニアが実際に使っている開発ツールIntelliJ IDEA(インテリジェイ)をインストールします。ボタン一つで日本語化し、初心者でも迷わず操作できる「魔法の設定」を一緒に行います。

この60分で得られる3つの体験

1. 自分のパソコンが「開発基地」に

プロと同じ道具を揃えることで、明日から一人でもプログラミングを続けられる環境が整います。

2. プログラミングの「仕組み」がスッキリ

「変数」や「型」といった難しい言葉も、身近な例え話で解説。モヤモヤをゼロにします。

3. 「読みやすい」から「直せる」へ

Kotlinは英語に近くて読みやすいのが特徴。自分でコードを読んで、間違いを見つけるコツも伝授します。

※本講座は、パソコン操作が不安な方でも安心して受講いただける完全マンツーマンです。あなたのペースに合わせて、一つずつ丁寧に進めていきます。

セミナー画像

Kotlinで始めるプログラミング入門|ゼロから「動く喜び」を体験

カテゴリの一覧へ
新着記事
New1
Go言語
Go言語の標準ライブラリとは?便利なパッケージを活用しよう
New2
Kotlin
Kotlinのコメントの書き方ガイド!1行・複数行コメントの基本と使い分け
New3
Swift
Swiftの無名関数の書き方と活用方法を初心者向けにやさしく解説!
New4
Go言語
Go言語のスライスのメモリ管理と再利用のテクニック!初心者でもわかる効率的な使い方
人気記事
No.1
Java&Spring記事人気No1
Kotlin
Android Studioのインストール手順と初期設定を初心者向けに完全解説!
No.2
Java&Spring記事人気No2
Swift
Swift Playgroundの使い方を完全解説!初心者に最適な学習環境の始め方
No.3
Java&Spring記事人気No3
Kotlin
Gradleファイル(build.gradle.kts)の書き方と役割をやさしく解説!Kotlin初心者向け完全ガイド
No.4
Java&Spring記事人気No4
Swift
Swift開発環境の構築方法を徹底解説!Xcode・Windows・Linux対応
No.5
Java&Spring記事人気No5
Kotlin
KotlinのViewModelとLiveDataを使ったアーキテクチャ例|初心者向けにやさしく解説
No.6
Java&Spring記事人気No6
Kotlin
Kotlinで画面を作る!レイアウトXMLとビューの基本操作をやさしく解説
No.7
Java&Spring記事人気No7
Kotlin
Kotlinのsettings.gradleファイルを完全解説!初心者でもわかるプロジェクト設定の基本
No.8
Java&Spring記事人気No8
Kotlin
Kotlinのデータ取得とキャッシュ設計を初心者向けに完全解説!